社会 > 患者さん・医療関係者の皆さまとともに 情報提供

製薬企業には医薬品の使用に際して必要な品質や有効性、安全性に関するすべての情報を、医療関係者に対して確実かつ継続的に提供、収集、伝達することが求められています。さらに、急速なデジタル技術の進化と普及により、製薬会社の情報提供活動も拡がりを見せています。
当社グループは、多様化する医療ニーズにお応えして医療への貢献を果たすとともに、患者さん個々の病態に応じた最適な治療提案、医薬品の適正使用と普及に向けた情報提供活動に取り組んでいます。

MRによる情報提供と情報収集

当社グループは、MR(医薬情報担当者)による全国の医療関係者への情報提供を通じ、患者さんに最適な薬剤を届けるべく活動しています。

デジタル技術の進歩とともに、医療を取り巻く環境も大きく変化していますが、こうした動きに対応して当社はデジタルマーケティングプロジェクト「ZEUS(Zoom on Effective Ultimate System)」を推進しています。医療機関への訪問面談をベースとしていた従来のMR活動に加え、医師ニーズに合わせてオンライン面談やWebコンテンツといったデジタルチャネルも駆使したハイブリッド型のMR活動を展開しています。

MRの重要な役割

  • 医薬品の適正使用に関わる安全性情報および科学的根拠のある学術情報の伝達
  • 研究開発の段階では得られなかった有効性や安全性などの情報収集とその結果に基づいた評価などを報告

また、当社ではさらに専門性の高い情報が必要な医薬品については、領域専門担当者を設置して対応しています。

セミナーの開催を通じた情報提供

当社は、疾患啓発セミナーやイベントを通じて、患者さんや社会に対して、疾患に対する理解を深め、快適な生活を送るために役立つ情報を提供しています。

「日経健康セミナー21」

2023年1月に、当社協賛による日経健康セミナー21「これからのALS治療とケア」(主催:日本経済新聞社)をオンラインで開催しました。
当日は専門医による講演と、パネルディスカッションの2部構成で行われました。
講演は、「ALSの近未来展望」というテーマで専門医にお話しいただきました。パネルディスカッションでは、「ALS患者さんがより安心した毎日を送るために~ALSのケアで気をつけたいポイント」というテーマに沿って、オンライン参加者から事前に受け付けた質問などについて、わかりやすいアドバイスやご回答をいただきました。患者さんからの質問や、実際にALS治療にあたっている医師からの質問も寄せられ、そのなかから、ALS患者さんの自立生活についてや人工呼吸器の使用に関する質問などについて、たとえば、さまざまな介護サービスを使うことができれば一人暮らしも可能であるなどの考え方や参考になる情報をいただきました。
本セミナーの内容は、日本経済新聞夕刊に、後日掲載されました。

「日経健康セミナー21」

「オンライン市民公開講座」

2023年6月に、当社と日本イーライリリー株式会社は、読売新聞社の共催でオンライン市民公開講座「主治医とともに歩む糖尿病治療~知っておきたい“MY目標値”~」を開催しました。
市民公開講座は、講演とトークセッションの2部構成で行われ、糖尿病の専門医と行動経済学の専門家に登壇いただきました。長期間の治療が必要な糖尿病では、主治医と目標を共有し、二人三脚で治療に取り組むことが大切であることを踏まえて、血糖管理の目標値について知っておきたいこと、主治医と円滑にコミュニケーションを取るためのコツなどを、わかりやすく解説いただきました。本セミナーの内容は、後日、読売新聞に掲載されました。

「オンライン市民公開講座」
アドボカシーセミナー
「糖尿病ライフを充実させるために ~偏見や誤解の払拭に向けて医療者ができること~」

世界糖尿病デーである2023年11月14日、当社はJADEC(公益社団法人 日本糖尿病協会)と共催でアドボカシー※1セミナー「糖尿病ライフを充実させるために ~偏見や誤解の払拭に向けて医療者ができること~」をWeb形式で開催しました。
昨今、糖尿病におけるスティグマ※2という問題が取り上げられています。今回のセミナーは医療者の皆さんを対象に、糖尿病のスティグマ払拭の啓発を目的に開催し、9,271人という多くの方々に参加いただきました。
セミナーは講演とパネルディスカッションの2部構成で、講演では糖尿病の専門医、看護師や研究者に登壇いただき、医療現場に存在するスティグマの指摘とその対処法、糖尿病医療の知識の見直しについての重要性などをわかりやすくお話いただきました。また、パネルディスカッションでは、糖尿病へのスティグマを払拭するために医療者に何ができるかについて、当事者である患者さんの視点を踏まえながら、活発なディスカッションが行われました。
当社は糖尿病のある人が充実した生活を続け、治療に前向きに取り組めるよう、引き続き、糖尿病に対するスティグマの払拭に向けた活動に取り組んでいきます。

  • ※1アドボカシー:社会的に弱い立場にある人たちの権利を守る。
  • ※2スティグマ:汚名、不名誉のしるし。医療現場においては、患者さんに対する差別や偏見を意味する。
アドボカシーセミナー
「糖尿病ライフを充実させるために ~偏見や誤解の払拭に向けて医療者ができること~」

セルフメディケーションのための情報提供

セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」(WHO定義)です。

当社ではセルフメディケーション推進を目的に、皮膚領域において悩みを抱える多くの方が自分の症状を正しく知り、少しでも早く治せるよう、テレビCMやWebサイトを通じてさまざまな啓発活動を行っています。なかでも「ヒフノコトサイト」では、医師や薬剤師などの専門家の監修をもとに情報を提供しています。
2023年度は「症例画像から探す」機能を追加し、より適切な症状把握ができるようになりました。また、監修医を増員し、従来の湿疹・皮膚炎に加え、水虫やとびひなどの感染性皮膚疾患など皮膚トラブル全般に範囲を広げ、多くの新規コンテンツを発信しました。2023年度は、年間で1,000万人を超える方々に閲覧いただくことができました。

鼻炎領域では、アレルギー専用鼻炎薬「タリオンAR」が要指導医薬品から一般用医薬品(第1類医薬品)へと医薬品分類が移行したことに伴い、インターネット販売で購入できるようになりました。引き続きテレビCMを放映し、「今年から春がもっと好きになる。」といったポジティブなメッセージを発信することで、花粉症患者さんに対しセルフメディケーションを推進しました。また、ブランドサイトでは花粉症患者さんの啓発を目的として、昨年同様に花粉飛散予測情報をエリア別にまとめた花粉カレンダーを公開しました。

ここ数年Femcare(フェムケア)という「Feminine(女性の)」と「ケア(Care)」をかけ合わせた、女性の体や健康をケアする製品・サービスが注目を集めています。当社では、2010年より腟カンジダ再発治療薬「オキナゾールL100」(1日1回1錠を6日間使用)を販売しており、ブランドサイトにて疾患の啓発を行い、「腟カンジダの再発はOTC医薬品を使って自分で治せる」ことを発信しています。
2023年6月には、1錠(1回)のみの使用で効果を発揮する利便性の高い「オキナゾールL600」を発売しました。これを機にブランドサイトを刷新し、医師監修記事や店舗検索機能を追加することにより、腟カンジダの再発におけるセルフメディケーションの更なる推進に取り組んでいます。

「ヒフノコトサイト」

※参考 「ヒフノコトサイト」
URL https://hc.mt-pharma.co.jp/hifunokoto/

海外における活動について

当社グループは、海外に約430人のMR(医薬情報担当者)を有しており、医薬品を適正にご使用いただくため、米国、欧州では英国・ドイツ・オーストリア・スイス、アジア地域では韓国・台湾・シンガポール・インドネシア・タイ・マレーシアにおいて海外現地法人を通じた適正使用の情報提供に努めています。医薬情報提供活動に携わるMRは、医療機関等への訪問、関連学会への参加、専門医の方々との意見交換、最新の学術情報の提供を通じ、医療関係者の方々の診療に貢献できるよう、日々活動しています。

米国での活動

2017年5月、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬エダラボンが承認され、8月より米国現地法人ミツビシ タナベ ファーマ アメリカ(MTPA)より販売してきました。また新たに、2022年5月にエダラボンの経口懸濁剤が米国で承認され、同年6月より販売を開始しました。MTPAの提供するプログラム「JourneyMate Support Program」を通じてALSと診断された患者さんやご家族への疾患や治療に関する情報の提供、患者さんそれぞれに合わせた治療管理、保険償還サポート、エダラボン処方後の米国専門スタッフ(クリニカルエデュケーター)による情報提供を行い、ALS患者さんをサポートしています。
加えて、ALSと向き合う患者さんやご家族を支援するために、疾患啓発イベントへの参加や、患者さん向けのウェビナーの開催、患者団体のイベントの後援などにも積極的に取り組んでいます。

主な取り組み

MTPAでは、ALSとともに生きる患者さんやご家族をサポートするため、年間を通じて、患者さんを支援するイベントに参加しています。ナショナルスポンサーとして、米国ALS協会のWalk to Defeat ALSを後援したほか、MTPA従業員も全米各地のイベントに参加しています。ALS疾患の啓発・認知度向上ならびにALS患者さんやそのご家族、介護者の方々へのALS疾患教育等を目的としたさまざまな疾患啓発イベント、ALSに関する有用な情報提供を目的とした患者さん向けのウェビナーの開催や後援などにも積極的に取り組んでいます。
また、ALS PathwaysやJourneyMate Support Programを通じてALSに関する情報の提供を行っており、ALSと診断された患者さんやご家族が、必要な情報にアクセスできるよう活動しています。

ALS疾患啓発イベントに参加

アジアでの活動

アジアでは、台湾・韓国・アセアンで、糖尿病や精神神経系領域での疾患の治療薬を早期に患者さんにお届けするための活動に取り組んでいます。
台湾では、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)治療薬イネビリズマブの承認を取得しています。
アセアンにおいては、統合失調症治療薬カリプラジンについて、双極性障害の効能での承認をマレーシアとインドネシアでそれぞれ2022年8月、2023年2月に取得しました。また、遅発性ジスキネジア治療薬バルベナジンについて、2022年6月にシンガポール、同10月にはインドネシアおよびタイにてそれぞれ承認を取得し、シンガポールにおいては2023年1月に販売を開始しました。
これらの活動により、糖尿病や精神神経系領域をはじめとするさまざまな疾患と闘うアジアの患者さんにも、希望ある治療の選択肢を提供できるよう、今後も努めていきます。

Webサイトを通じた情報発信

当社は、以下に関する健康支援サイトを国内、グローバルで開設しています。

当サイトでは、これらの病気の症状や診断、治療などについて、多くの方々に疾患に対する正しい理解の浸透や治療の大切さ、患者さん、ご家族の日常生活をサポートするお役立ち情報をイラストなども交え、わかりやすく紹介しています。
また、医師、薬剤師などの医療関係者から、患者さんやご家族に紹介していただけるように、健康支援サイトの情報をまとめたリーフレットも作成しています。

2023年度の主なサイト更新の状況です。

炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)
「知っトクカフェ クローン病」、「知っトクカフェ 潰瘍性大腸炎」では、疾患と就労をテーマとしたシリーズ「IBDとともに働き続けるコツ」に、多様な働き方・生き方編②を新たに掲載しました。
また、2024年度新規コンテンツ「おしりの悩みチェックHP」を開設し、すでに運用中です。
関節リウマチ
「リウマチ21.info」では「弊社製品をご使用、もしくはご使用予定の患者さんへ」に掲載されている動画内容を最新の情報に更新しました。
筋萎縮性側索硬化症
「ALSステーション」では、患者さんのより充実した生活のために筋萎縮性側索硬化症(ALS)の方の生活に役立つ情報として、「ALS Cafe web」「世界を旅するALSレストラン」の内容を更新しました。
予防接種
「ワクチン.net」ではワクチンに関する最新ニュースを紹介する「ワクチンInformation」を掲載しました。また、生涯を通じた予防接種を紹介するため「みんなのワクチンロードマップ」を掲載しました。
遅発性ジスキネジア
「いっしょにみつける、ささえる サーチライト」では、TDの症状・治療・医療費に関する情報提供の一環として、患者さん向けの資料「もしかして、遅発性ジスキネジアではありませんか?」を新たに掲載しました。
睡眠障害
「スイミンネット」では、“眠り”の基本メカニズムと“眠り”の不思議について解説するシリーズ「“眠り”のしくみ」で、睡眠サイクル、体内時計、睡眠欲求をテーマに掲載をしています。

健康支援サイトへの2023年度の訪問者総数は、2,046万人でした。

Webサイト「患者さんのためのくすりの情報」

2023年11月、患者さんのくすりに対する正しい知識と理解を深め、くすりの適正使用を推進することを目的として、当社の医療用医薬品を使用中の患者さんに向けたwebサイト「患者さんのためのくすりの情報」を開設しました。
本サイトにより、いつでも、どこでも最新の当社の医療用医薬品の情報を入手していただけるようになりました。また、医療関係者の方々には、服薬指導時のツールの一つとしてご活用いただけます。

患者さんのためのくすりの情報
https://patients.mt-pharma.co.jp/

「くすり相談センター」での情報提供

当社は、医療関係者(医師、薬剤師、特約店他)、患者さんからの問い合わせにお応えする窓口として「くすり相談センター」を設置しています。
当社の医療用医薬品をご使用いただいている患者さん専用として、2020年11月に電話窓口、2021年10月に問い合わせフォームを開設しました。医療関係者の窓口と区別し、患者さん・ご家族の皆様に開かれた企業窓口であることを明確にし、ご相談いただきやすいよう取り組んでいます。2023年11月、患者さん・ご家族の皆様が当社医療用医薬品に関する情報を直接入手できるように「患者さんのためのくすりの情報」サイトを開設しました。

「くすり相談センター」のコミュニケーターは、問い合わせの真のニーズを把握し、よりご満足いただける応対を行うべく、スキル向上のため日々研鑽しています。「くすり相談センター」では年間3.8万件(2023年度実績)の多岐にわたる問い合わせに対して、医薬品の基本情報や社内のQ&Aなどを活用しながら、自社製品の適正使用に関する情報を提供しています。「くすり相談センター」に寄せられた副作用をはじめとする安全性や品質に関する顧客からの貴重な情報を、社内で共有し、製品の信頼性向上や改良、これからの新薬創製に反映させるよう取り組んでいます。

近年、医療関係者、患者さんの情報入手経路の多様化やデジタル技術の進展により、製薬業界においても電話での問い合わせ比率は低下傾向にあり、有人チャネル以外での情報提供の比率が高まっています。当社でもWebサイトを通じて提供する製品Q&Aの質的充実・量的拡大を図るとともに、顧客ニーズに合わせてデジタルチャネルを追加し(AIチャットボット、LINE公式アカウント)、24時間365日いつでも必要な情報を入手いただけるよう努めています。

今後も、時代の変化へ柔軟に対応するとともに、「誠実・正確・迅速」に医薬品の適正使用情報を提供することで、患者さんの健康増進に寄与していきます。

LINE公式アカウント「田辺三菱製薬メディカルinfo」

2023年3月、医療関係者の利便性向上を目的として、LINE公式アカウント「田辺三菱製薬メディカルinfo」を開設しました。
スマートフォンから簡単かつスピーディーに知りたい当社製品情報にアクセスいただけ、供給関連情報や添付文書の改訂など最新のお知らせをメッセージ配信し、タイムリーにお届けします。

スマホ画面画像

田辺三菱製薬メディカルinfoは、国内の医療関係者を対象に、医療用医薬品を適正にご使用いただくことを目的としています。

くすり相談センターへの問い合わせ件数推移
くすり相談センターへの問い合わせ内容
  • FD案内:窓口間違いによるフリーダイヤル案内
    その他:MR呼び出し、講演会、研究会などに関する事項、ドーピング等

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