社員紹介
患者さんが服用しやすく、
有効性が最大限発揮されるよう、
化合物を“くすり”にしていく。
研究職(CMC研究)
2016年入社/薬科学科卒
患者さんに近いところで、グローバルな“モノづくり”
新薬の種である化合物を、患者さんが服用しやすく、有効性が最大限に発揮される“くすり”にしていく。これが、私が携わる製剤研究の役割です。製剤研究では、薬を必要とする患者さんのために化合物のさまざまな特性を十分に理解して製剤処方を設計します。また、安定的に薬を届けるために製造トラブルが起こらないよう製造方法を最適化していきます。このように製剤研究は製薬の中で“モノづくり”に深く関わることのできる仕事であり、私が製剤研究を志望した理由の一つでもあります。できるだけ患者さんに近いところで、自分がつくった“モノ=くすり”が貢献していることを実感できる仕事をしてみたい、今でもその思いに変わりはありません。
現在、私が担当しているのは、低分子医薬品の固形製剤です。最初に担当した糖尿病領域の品目が、入社3年目に無事に承認され、自分が携わった医薬品を社会に送り出すことができるという貴重な経験ができました。その後は現在に至るまで、希少疾患領域における新薬のプロジェクトを担当しています。これは日米欧で同時に臨床試験を進めるグローバルプロジェクトであり、承認申請に向けて海外のメンバーとやりとりをすることもあります。私はこのプロジェクトで製剤研究の責任者を任されており、一日でも早くこの薬を世界中の患者さんに届けられるよう研究に励んでいます。
また、この希少疾患領域の医薬品開発では、治験に参加した患者さんの団体から「新薬の効果が実感でき、承認されることを待ち望んでいます」というメッセージをいただきました。自分たちの仕事が患者さんの治療に貢献できる可能性を強く実感できましたし、何としても新薬として承認され、待ち望んでいる世界中の患者さんに届けられるよう努力し続けたいと思います。
研究所と工場が隣接するメリットを活かした技術移転
製剤研究では、まず実験室レベルの小スケールで処方と製法の研究をスタートし、徐々にスケールアップしながら、工場の実生産機での検討を経て、工場に製造技術を移管していきます。このスケールアップを伴う技術移転が、医薬品に要求される安全性や品質の厳しい基準を満たすためにとても重要であり、医薬品の開発においても大きな鍵となります。
現在取り組んでいる開発品では、この技術移転にさらに難しい条件が加わりました。希少疾患領域の薬であるため化合物が希少で、研究に利用できる量も限られていたのです。そのため、机上でのシミュレーションや研究員との議論を重ね、必要最低限の実験でスケールアップできるよう実験の最適化などに取り組みました。また、この技術移転では、移管先である工場の技術者と打ち合わせを重ね、知恵を出し合いました。私が勤務している小野田事業所は、研究所と工場が隣接しているため、何かあればすぐに打ち合わせや製造現場での立ち合いができることも特長の一つです。このように、自由闊達に議論ができ、研究所と工場が協力したことによって、難易度の高い技術移転を無事完了させることができました。
グループの総合力を活かし、新しい生産方式の開発に挑む。
田辺三菱製薬には、社員の意欲を積極的に支援してくれる環境があります。私が所属する研究所では、担当する開発品に加え、自分からテーマを提案して新規技術の研究にチャレンジできる仕組みがあります。私は現在、医薬品の新しい製造方式である連続生産技術の研究に取り組んでいます。
これまでの医薬品製造は、要求される品質レベルをクリアするため、繊細な技術が求められることから、一定量をまとめて製造するバッチ生産方式を基本としてきました。私たちが取り組んでいる連続生産方式は、化学製品や食品などで用いられており、バッチ生産と比べてより柔軟な製造が可能となり、生産効率化やコストダウンなどが期待できます。
製薬業界において、他社も連続生産技術の研究に取り組んでいますが、製造設備の違いなどによって課題はさまざまです。このような研究を推進する上での当社の強みは、三菱ケミカルグループとしての総合力にあると感じています。グループ会社のエンジニアと協業することによって、医薬品メーカーとしては考えつかないような新しい発想や斬新なアイデアを取り入れることができ、自分自身への刺激にもなります。この連続生産技術を一日でも早く確立し、医薬品の安定供給に貢献したいです。
- Career step
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2016年糖尿病領域の品目に関わる製剤研究に携わり、製品の上市を経験する
2018年希少疾患領域のグローバル開発プロジェクトに参加。現在は、製剤研究の責任者を務める
※本記事の所属・内容は取材当時のものです。