田辺三菱製薬のニュースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者等への情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。ニュースに記載している情報は、発表日時点のものです。現時点では、発表日時点での情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
ニュースリリース - 3月4日は「世界肥満デー」-「肥満症」の正しい理解促進プロジェクト 「肥満と肥満症のただしいミカタ研修」始動 ~肥満や肥満症への誤解や偏見を解消し、健康な職場・社会づくりを目指して~ 肥満症を「楽しく・ただしく学ぶ」をコンセプトに、“みえない偏見カード”ゲームを開発
2025年3月4日
日本イーライリリー株式会社(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:シモーネ・トムセン、以下、日本イーライリリー)と田辺三菱製薬株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役:辻村 明広、以下、田辺三菱製薬)は、「世界肥満デー」である3月4日(火)、「肥満症」の正しい理解の促進を目的とした「肥満と肥満症のただしいミカタ研修」を日本イーライリリー神戸本社にて実施しました。本研修は今後、企業向け研修コンテンツとして他の企業や団体へも広く提供し、「肥満症」に対する社会の理解促進に繋げていくことを目指しています。
「肥満と肥満症のただしいミカタ研修」は、肥満や肥満症に対する誤解や偏見を解消し、「肥満症」という慢性疾患について正しく理解してもらうことを目的としたプロジェクトです。近年、健康経営やウェルビーイングに関する取り組みが広がる中、「肥満症」は疾患としての認知度が低く、「肥満」と混同されやすいため、見過ごされがちです。これを受け、両社は社員への啓発や教育を通じて、健康な職場環境および社会の構築に寄与することを目的としたプロジェクトを立ち上げました。
研修は、カードゲームを使って「楽しく」学べるワークショップと、「ただしく」学べる医師の疾患解説で構成されています。ワークショップでは、医師監修のもと開発した「みえない偏見カード」を使い、ゲームを通して参加者同士が意見を共有し合うことで、「肥満は自己管理の問題」という肥満の要因に対する誤解や偏見があることに気付けるよう促します。ワークショップ後には、医師による疾患解説を通して、肥満や肥満症についてより深く、「ただしく」学びます。
日本イーライリリーと田辺三菱製薬は本プロジェクトを通して、肥満のある人やその周囲の人が、肥満や肥満症に対するただしいミカタ(見方)を知り、肥満や肥満症の人がより働きやすい職場環境や社会をつくるミカタ(味方)となっていくことを目指しています。


【本プロジェクト監修医のコメント:小川 渉 先生 (神戸大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌内科学部門 教授 /一般社団法人 日本肥満学会 常務理事)】
「肥満症は、QOL(生活の質)の低下だけでなく、他の健康障害を引き起こすリスクや、既に患っている他の疾患を悪化させるリスクがある、公的な健康保険で治療することが可能な慢性疾患です。様々な要因が重なって発症するため、決して自分自身の生活習慣の問題だけに依存するものではありません。しかし、「肥満は自己責任」という肥満症当事者も含めた社会の誤解や偏見、いわゆる「オベシティ・スティグマ」が、病気であるという理解や必要な治療の妨げとなっています。肥満症への正しい理解を促進するためには、社会全体が肥満に対する誤った見方を変えていく必要があります。『肥満と肥満症のただしいミカタ研修』を通して、医療現場だけでは解決しきれない肥満症への理解の輪が、職場、そして社会に広がるきっかけとなれば嬉しく思います。」

【プロジェクト発足の背景】
- 肥満症を取り巻く課題
日本には「肥満」に該当する人口が2,800万人1 いるとされていますが、そのうち肥満に関連する健康障害を合併する「肥満症」の診断や治療は、他の慢性疾患に比べて積極的に行われていない状況があります。 肥満や肥満症の発症には、個人の生活習慣のみならず、遺伝や環境、身体的、心理的、また社会的などの要因が複合的に組み合わさっており、自分の努力だけでは解決が難しいと言われています2。それにもかかわらず、一般社会には「肥満は自己管理の問題」という誤解や偏見(オベシティ・スティグマ)が社会課題として存在し、本人の努力や生活習慣のみがフォーカスされがちです。
日本イーライリリーと田辺三菱製薬が肥満症当事者と医師、一般消費者を対象に行った肥満症に関する意識調査3では、一般消費者の7割、肥満症当事者の9割近くが「肥満は自己責任」と考えていることが明らかとなりました。肥満症当事者においては、その認識がさらに強く、肥満症当事者の約3人に2人(63%)が「100%自分の責任である」と考えていることもわかりました。また、科学的な根拠を示され「肥満症は複合要因で起こる」と知っても、肥満症当事者の34%、一般消費者の41%が、「自分の努力だけでは解決が難しい」に「同意」できないと回答するなど、オベシティ・スティグマ(肥満に対する偏見)は根深いことがうかがえました。
- 「肥満」と「肥満症」の違い
日本における「肥満」は、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI)25以上と定義されています。一方で「肥満症」は、肥満(BMI25以上)があり、かつ肥満に起因ないし関連する健康障害(合併症)を1つ以上有するか、あるいは内臓脂肪蓄積がある場合など関連健康障害の合併が予測され、医学的に減量を必要とする病態と定義されており、減量による医学的治療の対象になる慢性疾患です4。
【「肥満と肥満症のただしいミカタ研修」とは】
身近なコミュニティである「職場」から、肥満の誤解や偏見を解消し、「肥満症」という慢性疾患への正しい理解を社会に広げるための研修
- ゲームを活用し「楽しく」学べるワークショップと、「ただしく」学べる医師の疾患解説で構成
ワークショップでは、日常に隠れている肥満に対する誤解や偏見に気づくためのゲーム「みえない偏見カード」を使い、楽しみながら身近なシチュエーションの中でどのような偏見が存在しているのかを考え、明らかにしていきます。ワークショップ後には、本プロジェクトの医学監修者であり糖尿病・内分泌内科専門医の小川 渉先生を講師に、「肥満症」について解説いただき、疾患についてより深く、「ただしく」学びます。
- 「みえない偏見カード」とは
日常の様々なシーンに隠れた肥満や肥満症に対する無意識の偏見に気づくためのカードゲームです。カードの種類は、肥満の偏見が隠れがちなさまざまなシーンを描写した「シーンカード」と、どのような偏見が隠れているのかを解説した「偏見カード」の2種類。シーンカードを組み合わせて遊びながら、一見すると気づきにくい偏見が潜む場面に向き合います。これにより、肥満や肥満症に対する偏見が身近に根付いていることに気づき、参加者同士で共有することで、肥満症への正しい理解につなげることを目的としています。

- プロジェクト・ロゴに込めた思い
「肥満と肥満症のただしいミカタ研修」というプロジェクト名には、肥満や、肥満症のある人、また肥満症という疾患自体に対する社会の"見方(ミカタ)"を少しでも変えたい、正しく理解する"味方(ミカタ)"(周囲の人や社会全体)を少しでも増やしたいという思いを込めています。
ロゴデザインにおいて、2つの吹き出しが重なるようにデザインされたアイコンは、研修の参加者同士がディスカッションを通して相互に理解し合う状態を表しています。それらが合わさり、ひとつの「目」を形作ることで、肥満に対する正しい見方を表現しています。また、サブタイトル 「♯みえてるようでみえない多様性」 には、次の思いが込められています。肥満症は見た目で分かりやすいように思われがちですが、実は多くの課題が見えにくい疾患で、発症には複合的な要因が関わり、健康障害を合併しやすく、偏見による苦しみもあります。また、本人の努力だけでは解決が難しい病気でもあります。こうした 「見えにくい課題」 に社会が気づき、理解を深めてほしいという願いが込められています。

- プロジェクトの公式WEBサイトが近日公開予定!
当プロジェクトの内容を紹介するWEBサイトを、日本イーライリリーの企業サイト内に近日公開予定です。サイト内では、肥満症に関する基本情報を紹介するとともに、「みえない偏見カード」を無料ダウンロード可能とする予定です。また、肥満症当事者の方が抱えているスティグマや、周囲から向けられる偏見の苦悩について当事者のリアルな声を通して知ることができるショートムービーも公開予定です。(2025年3月中にサイト公開予定)
日本イーライリリーと田辺三菱製薬は、今後、本プロジェクトの内容を自社のみならず他企業の職場、地域、そして社会に広く提供していくことで、社会全体の肥満症に対する正しい理解を促進し、結果として、肥満症のある人が一人でも多く、日常生活を安心して過ごし、より自分らしい、より豊かな人生を送れるようになることを願っています。
日本イーライリリーについて
日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。日本の患者さんが健康で豊かな生活を送れるよう、日本で50年にわたり最先端の科学に思いやりを融合させ、世界水準の革新的な医薬品を開発し提供してきました。現在、がん、糖尿病、アルツハイマー病などの中枢神経系疾患や自己免疫疾患など、幅広い領域で日本の医療に貢献しています。詳細はウェブサイトをご覧ください。 https://www.lilly.com/jp
田辺三菱製薬について
三菱ケミカルグループ(MCG)のファーマ部門である田辺三菱製薬は、1678年に創業、日本の医薬品産業発祥の地である大阪の道修町に本社を置き、医療用医薬品事業を中心とする製薬企業として、最も歴史ある老舗企業の一つです。当社は、「病と向き合うすべての人に、希望ある選択肢を。」をMISSIONとし、これを実現するため、中枢神経、免疫炎症、糖尿病・腎領域に加え、がん領域にも取り組んでいきます。有効性・安全性が高い患者層を見出し、治療満足度の高い薬剤をお届けする「プレシジョンメディシン」の他、予防・未病、重症化予防、予後にも目を向け、治療薬を起点に患者さんの困りごとに応える「アラウンドピルソリューション」を展開していきます。https://www.mt-pharma.co.jp/
-
References:
- 1:厚生労働省 国民健康・栄養調査(令和元年): https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf(2024年10月閲覧)
- 2:Schwartz MW, Seeley RJ, Zeltser LM, et al. Obesity Pathogenesis: an Endocrine Society Scientific Statement. Endocr Rev. 2017;38(4):267-296.
- 3:2025年2月27日、日本イーライリリー・田辺三菱製薬発表プレスリリース「肥満症に関する肥満症患者、医師、一般生活者への意識調査結果発表」 https://mediaroom.lilly.com/jp/previewPDF/2025/25-06_com.jp.pdf
- 4:日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」, p.1-2
お問い合わせ先
田辺三菱製薬株式会社 ファーマ戦略本部 PR部
TEL:06-6205-5119