田辺三菱製薬のニュースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者等への情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。ニュースに記載している情報は、発表日時点のものです。現時点では、発表日時点での情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
ニュースリリース 赤芽球性プロトポルフィリン症およびX連鎖性プロトポルフィリン症の治療薬として開発中のMT-7117について第3相臨床試験を開始
2020年6月15日
田辺三菱製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:上野裕明、以下「田辺三菱製薬」)は、当社の米国における開発子会社であるミツビシ タナベ ファーマ ディベロップメント アメリカ(Mitsubishi Tanabe Pharma Development America, Inc. 社長:九鬼秀紀)が、光線過敏症(日光暴露による激しい疼痛を含む)の既往を有する赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)*およびX連鎖性プロトポルフィリン症(XLP)*の成人および青年期の患者を対象として、日光下において疼痛を伴わずに活動できる時間を延長させることを目的に開発を進めている経口剤MT-7117(一般名:dersimelagon)(選択的メラノコルチン1受容体作動薬)について、国際共同第3相臨床試験を開始しましたので、お知らせします。
2018年6月に、米国食品医薬品局(FDA)より、EPPに対するファストトラック指定を受けており、また、2020年6月8日には、オーファンドラッグ指定を受けました**。
国際共同第3相臨床試験は、ENDEAVOR試験から得られた良好な結果をもとに、これまでに培った経験や知識を活かしながら進めていきます。
ENDEAVOR試験は、MT-7117の第2相試験(POC試験)であり、主要評価項目である、16週時点での日の出後1時間から日没前1時間までの日光曝露による前駆症状が発現するまでの平均時間が、プラセボ群と比較して、MT-7117 100 mg群(53.8分/日、 p<0.008)および300 mg群(62.5分/日、 p<0.003)で有意に延長することが示されました。
また、MT-7117の安全性ならびに忍容性は概ね良好であることも確認されました。これらの結果は、米国皮膚科学会(American Academy of Dermatology Annual Meeting;AAD)年次集会の最新の臨床セッションで発表されました。
EPP患者の新しい治療法として、経口剤であるMT-7117の開発を進めることによって、患者さんや医療関係者により多くの選択肢を提供できるものと考えています。
田辺三菱製薬は、重篤な疾患と闘う世界の患者さんの希望となる医薬品をいち早くお届けできるよう、研究開発活動を進めてまいります。
- * 難病情報センターウェブサイト: https://www.nanbyou.or.jp/entry/5546
- ** https://www.accessdata.fda.gov/scripts/opdlisting/oopd/detailedIndex.cfm?cfgridkey=645518
◆MT-7117 (Dersimelagon)について
MT-7117は、新規に合成された経口投与可能な非ペプチド性の低分子です。メラノコルチン1受容体(MC1R)の選択的作動薬であり、赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)およびX連鎖性プロトポルフィリン症(XLP)患者における光線過敏症の予防に有効である可能性があります。田辺三菱製薬は、EPPおよびXLPの治療薬として本剤を開発中です。 MT-7117は治験薬であり、米国食品医薬品局(FDA)またはその他の世界の規制当局による承認は受けていません。なお、MT-7117は、2018年6月、FDAよりファストトラック指定を受けています。
◆赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)およびX連鎖性プロトポルフィリン症(XLP)について
希少疾患である赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)は、フェロケラターゼ(FECH)遺伝子の変異から生じるヘム生合成経路の遺伝的疾患のひとつです。また、より稀なヘム生合成遺伝子の遺伝的疾患として、δ(デルタ)-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS2)遺伝子変異から生じるX連鎖性プロトポルフィリン症(XLP)があります。EPPおよびXLPの特徴的な症状は、血液、赤血球や組織へのプロトポルフィリン蓄積および皮膚の光毒性です。EPPおよびXLP患者は、通常、幼少期から激しい痛みを伴う光毒性反応を示すようになりますが、それより前に、皮膚が日光に暴露されることにより、疼くような、刺すような、または、灼けるような感覚の「前駆症状」が現れます。直射日光暴露後の前駆症状は様々ですが、10分未満で発現することもあります。重要なことは、前駆症状の発現後も持続的に日光に暴露されると、光毒性による疼痛が発現することです。
◆Mitsubishi Tanabe Pharma Development America, Inc.
ミツビシ タナベ ファーマ ディベロップメント アメリカ(MTDA) MTDAはニュージャージー州ジャージーシティー(Jersey City, New Jersey)を本社拠点にしています。MTDAは田辺三菱製薬が100%出資するMitsubishi Tanabe Pharma Holdings America, Inc.(ミツビシ タナベ ファーマ ホールディングス アメリカ)の子会社です。MTDAはALS治療領域では、米国で二十数年ぶりの薬剤となるRadicava(ラジカヴァ)の販売承認を取得した実績があります。今後も患者さんのアンメットメディカルニーズに応える革新的な医薬品の開発を進めてまいります。 https://mt-pharma-development-america.com/