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ニュースリリース HIF-PH阻害薬MT-6548の腎性貧血患者を対象とした国内第3相臨床試験結果について
2019年3月12日
田辺三菱製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:三津家正之、以下「田辺三菱製薬」)は、アケビア社(Akebia Therapeutics、米国マサチューセッツ州)から導入した低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(Hypoxia Inducible Factor Prolyl Hydroxylase;HIF-PH)阻害薬MT-6548(一般名:Vadadustat:バダデュスタット)について、慢性腎臓病に伴う貧血(腎性貧血)患者(透析前の保存期および血液透析を実施中の患者)を対象とした2本の国内第3相臨床試験と、血液透析および腹膜透析を実施中の腎性貧血患者を対象とした2本の国内第3相非対照試験において、良好な有効性および安全性を確認しましたので、お知らせします。
日本では、約1,330万人が慢性腎臓病である(エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン 2018)と推定されており、多くの方が腎性貧血に悩まされています。現在の標準治療は、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)(注射剤)であり、1日1回の経口投与が可能であるMT-6548の開発を進めることで、腎性貧血の治療に貢献できるものと期待しています。
田辺三菱製薬は、MT-6548を腎性貧血の治療薬として、2019年度に国内で製造販売承認申請を行う予定です。
また、田辺三菱製薬が独占的開発・販売権を有する他のアジア諸国においても、MT-6548の開発を進めてまいります。
国内第3相臨床試験結果は以下の通りです。
- 透析前の保存期の腎性貧血患者を対象とした試験(J01)
304名の透析前の保存期の腎性貧血患者を対象に52週間投与する、ランダム化、非盲検、実薬対照第3相試験を実施し、24週までの結果が得られた。
投与20週および24週の平均ヘモグロビン濃度は、MT-6548群で11.66 g/dL(95%信頼区間 11.49、 11.84 g/dL)、ESAのダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)製剤(以下、対照薬)群で11.93 g/dL(95%信頼区間 11.76、 12.10 g/dL)であった。MT-6548群の対照薬群に対する平均ヘモグロビン濃度の差は-0.26 g/dL(95%信頼区間 -0.50、 -0.02 g/dL)で非劣性マージン -0.75 g/dLを上回り、主要評価項目を達成した。
有害事象の発現割合は、MT-6548群で72.2%、対照薬群で73.2%であり、MT-6548群で多く認められた有害事象は、上咽頭炎(14.6%)、下痢(10.6%)、便秘(5.3%)、挫傷(5.3%)であった。
重篤な有害事象の発現割合は、MT-6548群で13.9%、対照薬群で14.4%であり、重篤な副作用は認められなかった。MT-6548群では死亡は認められなかった。対照薬群において1名が心筋梗塞により死亡したが、薬剤との関連性は否定された。 - ESAによる治療を受けている血液透析を実施中の腎性貧血患者を対象とした試験(J03)
323名のESAによる治療を受けている血液透析を実施中の腎性貧血患者を対象に、52週間投与するランダム化、二重盲検、実薬対照第3相試験を実施し、24週までの結果が得られた(盲検は継続中)。
投与20週および24週の平均ヘモグロビン濃度は、MT-6548群で10.61 g/dL(95%信頼区間 10.45、10.76 g/dL)、対照薬群で10.65 g/dL(95%信頼区間 10.50、10.80 g/dL)であった。MT-6548群の対照薬群に対する平均ヘモグロビン濃度の差は-0.05 g/dL(95%信頼区間 -0.26、0.17 g/dL)で非劣性マージン -0.75 g/dLを上回り、主要評価項目を達成した。
有害事象の発現割合は、MT-6548群で89.5%、対照薬群で88.2%であり、MT-6548群で多く認められた有害事象は、上咽頭炎(19.8%)、下痢(10.5%)、シャント狭窄(8.0%)であった。
重篤な有害事象の発現割合は、MT-6548群で13.0%、対照薬群で10.6%であり、重篤な副作用は認められなかった。 - 腹膜透析を実施中の腎性貧血患者を対象とした試験(J02)
42名の腹膜透析を実施中の腎性貧血患者を対象に、非盲検、非対照第3相試験を実施した。
投与20週および24週の平均ヘモグロビン濃度は、11.35 g/dL(95%信頼区間 10.99、11.70 g/dL)で、貧血治療効果が認められた。
38名(90.5%)に有害事象が、12名(28.6%)に重篤な有害事象が認められた。重篤な副作用および死亡は、心筋虚血により1名(同一患者)に認められた。 - ESAによる治療を受けていない血液透析を実施中の腎性貧血患者を対象とした試験(J04)
24名のESAによる治療を受けていない血液透析を実施中の腎性貧血患者を対象に、非盲検、非対照第3相試験を実施した。
投与20週および24週の平均ヘモグロビン濃度は、10.75 g/dL(95%信頼区間 10.35、11.14 g/dL)で、貧血治療効果が認められた。
23名(95.8%)に有害事象が、7名(29.2%)に重篤な有害事象が認められた。重篤な副作用および死亡は認められなかった。
これらの試験結果については、今後、学会等で発表する予定です。
◆参考◆
- バダデュスタット(Vadadustat)について
- バダデュスタットは、慢性腎臓病による貧血の治療のための経口低酸素誘導因子プロリルヒドロキシラーゼ抑制剤(HIF-PHI)です。バダデュスタットは、高地での緩やかな酸素濃度の低下時に、人体が自然に適応する際に用いられる低酸素状態の改善と同じメカニズムで働きます。人体は高地における低酸素状態では、HIFの産生を上昇させます。当該HIFは鉄の動員とエリスロポエチン(Erythropoietin; EPO)産生の相互依存的プロセスを調整することで赤血球の産生を高め、最終的に酸素運搬を改善します。
- アケビア社について(Akebia Therapeutics Inc.)
- アケビア社は、腎臓病患者さんに対する治療にフォーカスしたバイオ製薬企業です。アケビア社は2007年に設立され、ケンブリッジ(米国マサチューセッツ)に本社を置いています。詳しくは、www.akebia.comをご覧ください。