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ニュースリリース HIF-PH阻害薬MT-6548の腎性貧血患者を対象とした国内第3相臨床試験開始のお知らせ
2017年11月1日
田辺三菱製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:三津家正之、以下「田辺三菱製薬」)は、低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(Hypoxia Inducible Factor Prolyl Hydroxylase;HIF-PH)阻害薬MT-6548(一般名:vadadustat:バダデュスタット)について、慢性腎臓病に伴う貧血(腎性貧血)患者(透析前の保存期および腹膜透析を実施中の患者)を対象とした国内第3相臨床試験を開始しましたので、お知らせいたします。
保存期腎性貧血患者を対象とした試験は、MT-6548を投与した際の有効性および安全性を、標準治療薬である赤血球造血刺激因子製剤(ESA)のダルベポエチン アルファ(遺伝子組み換え)を対照薬として検証するランダム化非盲検比較試験です。ヘモグロビン値の改善効果/ESAからの切替および維持効果をダルベポエチン アルファと比較し非劣性を示すことで、腎性貧血に対するMT-6548の治療効果を評価します。
MT-6548は、アケビア社(Akebia Therapeutics,米国マサチューセッツ州)から導入した経口のHIF-PH阻害薬です。田辺三菱製薬は、アケビア社との間で、2015年12月にMT-6548に関する日本および他のアジア諸国における独占的開発・販売権に係る協業契約を締結しており、アケビア社は現在、腎性貧血に対するバダデュスタットの国際共同第3相臨床試験を実施しています。
日本では、約1,100万人がステージ3以上の慢性腎臓病に罹患していると考えられ(慢性腎臓病診療ガイドライン)、透析を受けている方(約32万人、日本透析医学会)を含め、多くの方が貧血に悩まされていると考えられます。当該貧血の原因は、腎臓病患者が有する腎機能の進行的な喪失であり、これにより、低酸素状態に応答して赤血球の産生を調節する身体機能の欠如が起こります。また、貧血を治療せずに放置すると、慢性腎臓病の症状進行につながり、患者さんの健康悪化が全身で生じると考えられています。
田辺三菱製薬は、MT-6548を腎性貧血の治療薬として、2020年度内に日本の患者さんにお届けできるよう、開発を進めてまいります。
◆参考◆
- バダデュスタット(vadadustat)について
- バダデュスタットは、経口のHIF-PH阻害薬で、現在腎性貧血の治療に対し、海外では既に第3相臨床試験を開始しています。バダデュスタットは、高地での緩やかな酸素濃度の低下時に、人体が自然に適応する際に用いられる低酸素状態の改善と同じメカニズムで働きます。人体は高地における低酸素状態では、HIFの産生を上昇させます。当該HIFは鉄の動員とエリスロポエチン(Erythropoietin; EPO)産生の相互依存的プロセスを調整することで赤血球の産生を高め、最終的に酸素運搬を改善します。
- アケビア社について(Akebia Therapeutics Inc.)
- アケビア社は、マサチューセッツ州ケンブリッジに本社を置くバイオ製薬企業として、HIFの生物学を通じて、腎臓病患者に革新的治療法を提供することに注力しています。アケビア社のリードプロダクトであるバダデュスタットは、経口治療薬として腎性貧血患者に関する保存期・透析期の双方の患者を対象とした第2相臨床試験を米国で完了し、国際共同第3相試験を開始しています。
アケビア社 http://akebia.com/