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ニュースリリース 抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤「レミケード®点滴静注用100」クローン病に関する用法・用量の一部変更承認の取得について

2017年5月18日

 田辺三菱製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:三津家 正之)は、このたび、抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤「レミケード®点滴静注用100」(一般名:インフリキシマブ)について、クローン病の用法・用量に投与間隔の短縮を追加する製造販売承認事項の一部変更承認を取得しました。また、併せてクローン病及び潰瘍性大腸炎の小児に関する使用上の注意等を改訂しました。

 レミケード®は2002年に「中等度から重度の活動期クローン病」及び「外瘻を有するクローン病」の適応症で、国内初の生物学的製剤として発売しました。2007年には「クローン病の維持療法」の効能・効果を、2011年には通常用量(5mg/kg 8週間隔投与)で効果が減弱した患者さんに対する増量(10mg/kg 8週間隔投与)の用法・用量の承認を取得しました。

 クローン病は、主として若年者に認められ、小腸や大腸の腸管に炎症や潰瘍などが発生する慢性かつ進行性の炎症性疾患です。国内におけるクローン病の患者数は約40,000人で、現在では15,000人を超えるクローン病の患者さんがレミケード®による治療を受けられており、本剤が患者さんのQOL向上に貢献しています。

 一方、一部の患者さんにおいて10mg/kgに増量しても十分な効果の持続ができず、本剤の更なる用法・用量の変更を求める、強い要望が寄せられていました。当社はこのニーズに応え、本剤の5mg/kg 4週間隔投与について検討した結果に基づき、用法・用量の一部変更承認申請を行い、承認を取得しました。
 また、小児のクローン病及び潰瘍性大腸炎を対象として実施した臨床試験のデータに基づき、添付文書の小児に関する使用上の注意等を改訂しました。

 田辺三菱製薬はアンメット・メディカル・ニーズに応えるため、希少疾病を含めた各種難病に対するレミケード®の開発と適応症の拡大に取り組んでいます。今後も、本剤に係るエビデンスの構築ならびに適正使用推進を徹底し、安心してご使用いただける販売体制の構築に努めてまいります。

 【本承認取得に対する炎症性腸疾患(IBD)専門医の意見】

 現在、クローン病治療薬として3剤の生物学的製剤が使用可能となり治療目標を向上させた。一方、効果減弱例等の新たな課題が存在している。効果減弱例での安易な他剤切替えは危惧すべきである。
 これに対し、本剤の5mg/kg 8週間隔投与の効果減弱時に、これまで10mg/kgへ増量が可能であったが、今般、より高い有効性が望める5mg/kg 4週間隔投与が承認された意義は大きい。これにより、レミケード治療でさらに多くのクローン病患者で寛解が維持できるものと考えられることから、効果が減弱した際の5mg/kg 4週間隔投与は、他剤切替えを考慮する前に試されるべき強化療法といえる。
 また、小児IBD患者を対象に本邦で行われた臨床試験の結果が添付文書に反映された。この試験により、小児における有効性、安全性、及び血中濃度の推移が、成人と変わらないことが明らかとなった。この結果は、生物学的製剤治療が必要な患者への、より早期からの投与をしやすくするものと思われる。これにより、これまで以上に予後が改善される可能性があり、生物学的製剤による早期介入時の有効性に関する今後の結果に注目したい。

東邦大学医療センター佐倉病院 内科学講座 教授・IBDセンター長
「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班 研究代表者
鈴木康夫

【鈴木先生ご略歴】

1981(昭和56)年 滋賀医科大学医学部卒業
1981(昭和56)年 千葉大学医学部附属病院第二内科入局
1987(昭和62)年 アイルランド共和国トリニティー大学留学
1989(平成元)年 帰国 千葉大学医学部附属病院第二内科
1994(平成6)年 千葉大学医学部附属病院第二内科助手
1996(平成8)年 千葉大学医学部附属病院光学医療診療部副部長兼務
2003(平成15)年 東邦大学医学部付属佐倉病院内科 助教授
東邦大学医学部付属佐倉病院消化器センター 副センター長兼務
2004(平成16)年 東邦大学医学部付属佐倉病院消化器センター長
2006(平成18)年 東邦大学医療センター佐倉病院消化器センター長
2006(平成18)年 東邦大学医療センター佐倉病院内科 教授
2011(平成23)年 東邦大学医療センター佐倉病院 副病院長
2011(平成23)年 東邦大学医療センター佐倉病院内科 主任教授

製品概要

下線部分が今回追加された内容です。

製品名 レミケード®点滴静注用100
一般名 インフリキシマブ(遺伝子組換え)
効能・効果 既存治療で効果不十分な下記疾患
 関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
 ベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎
 尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症
 強直性脊椎炎
 腸管型ベーチェット病、神経型ベーチェット病、血管型ベーチェット病
 川崎病の急性期

次のいずれかの状態を示すクローン病の治療及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
 中等度から重度の活動期にある患者
 外瘻を有する患者
中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)
用法・用量 <関節リウマチ>
通常、インフリキシマブ(遺伝子組換え)として、体重1kg当たり3mgを1回の投与量とし点滴静注する。初回投与後、2週、6週に投与し、以後8週間の間隔で投与を行うこと。なお、6週の投与以後、効果不十分又は効果が減弱した場合には、投与量の増量や投与間隔の短縮が可能である。これらの投与量の増量や投与間隔の短縮は段階的に行う。1回の体重1kg 当たりの投与量の上限は、8週間の間隔であれば10mg、投与間隔を短縮した場合であれば6mgとする。また、最短の投与間隔は4週間とする。本剤は、メトトレキサート製剤による治療に併用して用いること。

<ベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎>
通常、インフリキシマブ(遺伝子組換え)として、体重1kg当たり5mgを1回の投与量とし点滴静注する。初回投与後、2週、6週に投与し、以後8週間の間隔で投与を行うこと。

<乾癬>
通常、インフリキシマブ(遺伝子組換え)として、体重1kg当たり5mgを1回の投与量とし点滴静注する。初回投与後、2週、6週に投与し、以後8週間の間隔で投与を行うこと。なお、6週の投与以後、効果不十分又は効果が減弱した場合には、投与量の増量や投与間隔の短縮が可能である。これらの投与量の増量や投与間隔の短縮は患者の状態に応じて段階的に行う。1回の体重1kg当たりの投与量の上限は、8週間の間隔であれば10mg、投与間隔を短縮した場合であれば6mg とする。また、最短の投与間隔は4週間とする。

<強直性脊椎炎>
通常、インフリキシマブ(遺伝子組換え)として、体重1kg当たり5mgを1回の投与量とし点滴静注する。初回投与後、2週、6週に投与し、以後6~8週間の間隔で投与を行うこと。

<腸管型ベーチェット病、神経型ベーチェット病、血管型ベーチェット病>
通常、インフリキシマブ(遺伝子組換え)として、体重1kg当たり5mgを1回の投与量とし点滴静注する。初回投与後、2週、6週に投与し、以後8週間の間隔で投与を行うこと。なお、6週の投与以後、効果不十分又は効果が減弱した場合には、体重1kg 当たり10mg を1回の投与量とすることができる。

<川崎病の急性期>
通常、インフリキシマブ(遺伝子組換え)として、体重1kg 当たり5mgを単回点滴静注する。

<クローン病>
通常、インフリキシマブ(遺伝子組換え)として、体重1kg当たり5mgを1回の投与量とし点滴静注する。初回投与後、2週、6週に投与し、以後8週間の間隔で投与を行うこと。なお、6週の投与以後、効果が減弱した場合には、投与量の増量又は投与間隔の短縮が可能である。投与量を増量する場合は、体重1kg 当たり10mgを1回の投与量とすることができる。投与間隔を短縮する場合は、体重1kg当たり5mgを1回の投与量とし、最短4週間の間隔で投与することができる。

<潰瘍性大腸炎>
通常、インフリキシマブ(遺伝子組換え)として、体重1kg当たり5mgを1回の投与量とし点滴静注する。初回投与後、2週、6週に投与し、以後8週間の間隔で投与を行うこと。

なお、本剤投与時には、1.2ミクロン以下のメンブランフィルターを用いたインラインフィルターを通して投与すること。
使用上の注意
6.小児への投与
1)クローン病及び潰瘍性大腸炎
国内臨床試験において、6歳未満の幼児等に対する使用経験が得られていないため、これらの患者には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与し、副作用の発現に十分注意すること。


2)川崎病の急性期
国内臨床試験において、1歳未満の乳児に対する使用経験が得られていないため、これらの患者には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与し、副作用の発現に十分注意すること。

3)上記1)、2)以外の効能
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。

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